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女たちが連れだって化粧室に行くと、自分と同じ背丈でレイヨウのような長いまつ毛をした雄太が俊一に話しかけた。
「きみもルイにしてやられているの」
俊一はなにを問われたのか理解できず雄太の目を覗いた。
巻き毛の茶髪が似合うきれいな横顔の悟がその隣で海を見ながら微笑んでいた。
「ルイはさ、よく分かんないだよな、俺」少し考えて雄太は海に向き直った。「男とふたりで会おうとしないみたいだし。俺もサトルもふられているのさ。でもリナやミユが一緒ならついてくるからさ、あきらめきれなくてね、俺」
「大学のころは俺ら競争していたよな」悟が聴かせた。「どっちが早く彼女とデートするかって――。ミユとリナがルイと仲良しだったから彼女らにルイの好みを訊いたりしてね。別々にルイを何度か誘ってみたけれど、用事があって出られないっていつも断られていた。それでもミユとリナが一緒だと出てくる割合が高いからさ、ここだけの話、ルイを目当てにふたりを誘うことも多かったな」
「あのときなぁ」雄太が笑い出した。「日曜にランチしないかって俺がミユを誘ったのさ。いつもだったらひとりを誘っても必ず誰かついてきていたから、ルイまではこないとしてもリナはくる、って前の日にサトルと話し合っていたの。でもその日はひとりできたからさ、いつも一緒の彼女らは? て訊いたの。ミユは言った。『一応誘われたのはわたしだから礼儀のつもりでひとりできたのよ』って。そのあと彼女は言いにくそうに教えたね。『ルイとリナが近くでわたしたちを見ている、ユータがどんな人間だか見極めてやるって言って――』って。見られていると思うと俺、ちょっと刺激してやろうって気になって――。待ち合わせが原宿駅近くの店の前だったの、それでドアのわきでミユを振り向かせて壁ドンしたの。『それどういう意味、俺を馬鹿にしているの』って真顔で」

「まじ、刺激的ですね」俊一は興味をそそられた。
「ミユは俺を睨んで言った。『あなたとサトル、ルイが好きでしょう。リナもわたしも知っているのよ。それなのにわたしを誘うから変ね、ってリナとも話し合ったの』って意地悪そうな目でクスクスと笑っていた」
俊一は思わず失笑した。とっさに申し訳ない気持ちになったが、雄太も悟も一緒になって笑っていた。
「俺は頭をかかえたね、すぐに反論できなかったよ。とりあえず、誘われてうれしくなかったの? ってミユに訊いた」
「『そりゃ悪い気はしなかったけれど、どっちかっていうと、わたしサトルのほうがタイプなのよね』って、彼女は答えたらしい――」悟が雄太の代わりに説明した。
