黄昏のアペリティフ Twilight aperitif

最初から世界は僕にとってタロットカードのようで、至る所に斧を持った悪魔が散在していた。ゆえに、若い歳月のなかで僕は闘いに破れ屈したのだ。五万とある理由をここで並べるつもりはない。ある人物なら決して問題にしないような瑣末なこと、浅慮とか軽率とかがもたらす恥辱の類や、おのれの意識しない美徳なんかがもたらす友愛や誘いかけなんかのことごとくが僕のストレスとなった。

誰かが素直に恋愛感情を抱いてくれることすらも然りだった。

僕の想念はカラスの攻勢に疲れてボロボロに朽ちた荒れ地の木の実だった。一度落下したものを再び所有することは不可能だった。くたびれはてた自分をなおも引き戻そうとするこの深層心理に、もうひとりの僕自信である釣り人は、奪われたものを集めることと放置することで判断の機会を与えたのだ。

あのナイフは僕自身の自虐性の現れだったのかもしれない。僕は箱のなかを覗き込み、ようやっと独自の思考を展開する力を保っただけの自我で、微かにため息をついた。

奪取する野心が砕け、失望が見舞ったのだ。

一瞬のち、不意に耳朶に触れる風が真新しい考え、開き直りというものを霹靂のように迎え入れた。

諦念の素晴らしさは、神意を伝達する恩寵を宿している。

結局は煙の手は正しかったのだ。

割れるような頭痛から奇妙に明るい海に迷い込んで、真っ黒い雲に懐柔された僕は、それでも自分自身を鼓舞する責め苦から免れることが出来なかった。

僕は実際、世の中や僕自身にあまりにも深くこだわり過ぎ、 理想を追い過ぎたに違いない。

自らの働きかけに対する世の中の返戻を期待し過ぎたのかもしれない。

結果が予想外で僕は絶えず悩み抜いた。尽力の限りにしたなら、自分を許してやるべきだった。

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