激しい嫌悪が僕を満たした。態度を改めるんだ。肯定などするものか、それは認識外のことだ。
想いのたけを込めて念じると、ブヨブヨのナイフ状の影は凍結し、鈍い金属音を発して粉々に砕けながら空中に飛び散った。
そのままボックスの蓋は閉じなかったものだから、女神はぽかんと目を開いたままとなった。今こそ僕はなかを覗く必要がある。そこにある魚をサメにだってピラニアにだって認識してやれるのだ。何故か残虐で攻撃的なものしかこのとき僕は思いつかなかった。
繰り返し言うが、注意力のない人間を僕は嫌いだ。 つまり、厄介なものを生み出して自分が食われるなど、割に合わないことはすべきじゃないと踏んだのさ。

僕が改めて懸命に認識しようとしたのは言わずもがな、このへんてこな世界に躍り出る直前に奇妙な手によって食べられてしまった想念の数々だった。もちろん『囁く者』の正体でもあった不遜なものもなかにはあったが、それさえも僕は取り返す必要があった。
もはやそこにいるのかいないのかさえ不明な、釣り人など気にならなかった。
目的物を冷凍保存用の箱のなかに認めて、掴み取ることが僕に課せられた責務だった。現世に執着のないはずの僕だったが、今し方のように本音をきちんと表明することで、二度と大手を振れないよう、あらゆる忌まわしさを打ち負かさねばならなかったのだ。
